2018年2月の年金から所得税が多く引かれているのはなぜ?

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最近、マスコミで連日のように取り沙汰されている2月定期払分年金の過少支給。

一体、なにがどうなってこのような事態になってしまったのか?

マスコミ報道を見たり読んだりするだけでは中々ピンと来ないと思います。

委託業者のミスだとか、機構側の処理遅れだとか色々と報道されていますが、本当の原因は果たして何なのか?

様々な面から検証してみました。

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今回の事象の対象者とは?

まず、マスコミで取り上げられている事象の対象となっている年金受給者がどのような方たちなのか?

それは課税対象となる金額の年金が支給されている方々です。

<課税対象の年金額とは?>
老齢厚生年金+老齢基礎年金の年支給額が以下の金額の方です。
・65歳未満の方は108万円以上。
・65歳以上の方は158万円以上。
(加給年金・振替加算も含みます。遺族年金と障害年金は除きます。)

会社から支給される給料なども同じですが、年金も課税対象額であれば支給する際に所得税が源泉徴収されます。

しかし、給与所得者や年金受給者に扶養家族がいる場合は、その人数分の扶養控除を受けることができます。会社では「年末調整」の時に手続きします。

<源泉徴収とは?>
給料や年金を支払う者が、それらを支払う際に所得税等の税金を差し引いて、それを本人に代わって国等に納付する制度のこと。

その扶養控除を受けてもらうために、課税対象の年金受給者あてに「扶養親族等申告書」という書類が送付されます。(毎年秋ごろ送付。平成29年は9月初旬ごろに送付。)

提出された「扶養親族等申告書」の申告内容に基づいて税金の控除がされるというわけです。

ちなみに、平成29年に送付した「扶養親族等申告書」は平成30年中に支給される年金にかかる所得税控除のためのものです。

なぜ処理が遅れたのか?

実は、平成29年分の「扶養親族等申告書」(平成28年送付分)まではハガキタイプの簡単なものでした。

前年の申告内容と変わりが無ければ「変更なし」にチェックを入れて氏名の記入と押印さえすればよいというものです。

ところが税制の改正のため、平成29年に送付された「扶養親族等申告書」からは様式が大幅に変更されました。

マイナンバーの記入が必要となり、控除対象配偶者の区分が細分化されたために記入方法が非常にわかりづらいものとなりました。

そのため、提出された「扶養親族等申告書」には書き間違いや記入漏れが多く発生しました。

書類の性質上、機構側で勝手に修正するわけにもいかず、返戻することになったのです。

それだけならよかったのでしょうが、実は1月末に送付した平成29年分源泉徴収票でも委託業者による入力ミスが発生していました。

「源泉徴収票」の対応に追われている中での「扶養親族等申告書」の返戻作業であったために2月定期払までに処理が追いつかなかったようです。

いくらぐらいの所得税が引かれたのか?

今回の事象により2月定期払時に所得税がたくさん引かれていた方はいくらぐらい引かれていたのでしょうか?

「扶養親族等申告書」の処理が間に合っていた場合と、間に合わなかった場合とでそれぞれ計算をしてみました。

・68歳の男性受給者。70歳未満の配偶者あり。その他の扶養家族なし。
・年金支給額は1回(2か月分)で400,000円。
・社会保険料は介護保険料10,000円と国民健康保険料20,000円が年金から特別徴収。

「扶養親族等申告書」の処理が間に合った場合

1.控除額

<基礎控除+扶養控除>
1か月分:135,000(基礎控除)+32,500(配偶者控除)=167,500
2か月分:167,500×2=335,000

<社会保険料控除>
10,000(介護保険料)+20,000(健康保険料)=30,000

335,000+30,000=365,000

控除額の合計は365,000円となります。

2.課税所得額

400,000(年金額)-365,000(控除額)=35,000

課税所得額は35,000円となります。

3.所得税額

35,000(課税所得額)×5.105%(合計税率)=1,786.75≒1,786

<内訳>
所得税:35,000×5%=1,750
復興特別所得税:1,786-1,750=36

*合計税率(5.105%)=所得税率(5%)×102.1%(復興特別所得税)

所得税額は1,786円となります。

「扶養親族等申告書」の処理が間に合わない場合

1.控除額

<社会保険料控除>
10,000(介護保険料)+20,000(健康保険料)=30,000

基礎控除と配偶者控除は行われないため、控除額の合計は30,000円となります。

 2.課税所得額

400,000(年金額)-30,000(控除額)-(400,000-30,000)×25%=277,500

課税所得額は277,500円となります。

3.所得税額

277,500(課税所得額)×10.21%(合計税率)=28,332.75≒28,332

<内訳>
所得税:277,500×10%=27,750
復興特別所得税:28,332-27,750=582

所得税額は28,332円となります。

*合計税率(10.21%)=所得税率(10%)×102.1%(復興特別所得税)

「扶養親族等申告書」の処理が2月定期払に間に合えば所得税額は1,786円。間に合わなければ28,332円となり、その差額は26,546円にもなります。

これほどの差が出てしまう要因としては、基礎控除と配偶者控除を受けることができないことと、所得税率が10%で計算されるためです。

年金だけで生活している方々にとっては大変大きな金額となります。

ただし、「扶養親族等申告書」の処理が入れば2月定期払時に徴収しすぎた所得税は還付されます。間に合えば4月、遅くとも5月か6月には還付されるでしょう。

まとめ

膨大な量の作業を委託業者に依頼するのはよくあることなのでしょうがないでしょう。

しかし、個人情報が関係する作業をそのような信頼できない業者に依頼したことと、最終チェックを怠ったことの責任はやはり機構側にあると言えます。

社会保険庁時代にいい加減なことをやってきた体質はまだまだ改善の余地があるとしかいいようがありません。

今後はこのようなことがが起こらないように頑張っていただきたいものです。

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