加給年金と振替加算をもらうための条件と手続きの方法について詳しく解説!

みなさんこんにちは! けんたろうです。
今回は「加給年金」と「振替加算」について説明いたします。

加給年金とは?

加給年金とは簡単に言うと扶養手当みたいなもので、厚生年金の加入期間が20年以上ある人に条件を満たす配偶者や18歳未満の子供がいる場合に老齢厚生年金に加算されるものです。

「加給年金」を受け取るにはいくつか条件がありますし、いつからいつまでもらえるのか等、今ひとつわかりにくい制度ですので詳しく解説します。

加給年金の権利が発生する条件

以下の3つの条件を全て満たす方に加給年金の権利が発生します。

第1の条件

厚生年金か共済年金に加入していた期間が20年(240月)以上あること。

厚生年金と共済年金の合算で20年以上あればよい。

ただし特例として下記の人は実際の加入期間が20年無くても条件を満たすことになります。

男性は35歳以降、女性は40歳以降の厚生年金のみの加入期間が以下の月数以上あること。

生年月日 加入期間
 昭和22年4月1日以前  180月(15年)
 昭和22年4月2日~昭和23年4月1日  192月(16年)
 昭和23年4月2日~昭和24年4月1日  204月(17年)
 昭和24年4月2日~昭和25年4月1日  216月(18年)
 昭和25年4月2日~昭和26年4月1日  228月(19年)

この他にも等級が1級か2級の障害年金を受けている場合、障害厚生年金には配偶者加給金が加算され、障害基礎年金には子の加給金が加算されます。

第2の条件

生計維持関係のある配偶者や子供がいること。

<生計維持関係とは?>
①同居していること(別居していても、仕送りしている、健康保険の扶養親族である等の事項があれば認められます)
②加給年金額等対象者(配偶者、子供)について、前年の収入が850万円未満であること。または所得が655万5千円未満であること。

<ここでいう子供とは>
①18歳未満の子供(18歳の誕生月の次の3月まで)
②1,2級の障害を持つ子供(20歳の誕生月まで)

第3の条件

定額部分の支給が開始されていること。

<定額部分とは?>
厚生年金の加入期間に基づいて計算される基礎年金に該当する部分で、65歳前の「特別支給の老齢厚生年金」を受給している人は下図の通り、生年月日によって定額部分の支給開始年齢が異なります。

(画像引用元:日本年金機構HP)

定額部分が発生しない方(昭和24年4月2日以降生まれの男性、昭和29年4月2日以降生まれの女性)は65歳からもらえる『老齢基礎年金』=定額部分となります。

また、長期加入者特例(厚生年金加入月数が44年/528月以上)や障害者特例に該当する人は年齢に関係なく退職の翌月分から定額部分が発生しますので、要件を満たせば「加給年金」も同時に発生します。

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いつからいつまで支給されるのか?

「加給年金」は原則的に、厚生年金の加入期間が20年以上ある人の定額部分の支給が開始された月の分から配偶者が65歳になる月の分まで支給されます。

<例>

・夫は厚生年金加入期間が20年以上あり、昭和24年5月5日生まれ。

・妻は厚生年金加入期間が20年無く、昭和30年3月3日生まれ。

夫が65歳になる(定額部分が発生する)のが平成26年5月5日で、妻が65歳になるのが令和2年3月3日になります。

したがって、加給年金は平成26年6月分~令和2年3月分まで支給されます。

配偶者が65歳に到達すると加給年金の権利自体が消滅し、今度は配偶者の『老齢基礎年金』に「振替加算」が加算されます。

「振替加算」についてはこちらで詳しく説明しています。

振替加算はいつまでもらえる?振替加算がもらえる条件と手続き方法を解説!
みなさんこんにちは! けんたろうです。 今回は「振替加算」について詳しく説明いたします! 振替加算と...

「加給年金」が支給停止となる場合

下記の1か2のいずれかの状態になると、「加給年金」の権利はあるけど支給停止になります。

1.妻に厚生年金加入期間が20年以上ある「特別支給の老齢厚生年金」の受給開始年齢に到達した時

2.妻が障害年金を受けている間

ただし妻の年金が全額支給停止となった月はその月の分は加給年金が支給されます。

例えば、妻が失業保険を受けるために特別支給の老齢厚生年金が停止されたときや、給料との調整で全額停止となった場合です。

配偶者の方が65歳になるのが早い場合は加給年金は発生せず、いきなり「振替加算」が配偶者の基礎年金に加算されはじめます。

「加給年金」の支給額

配偶者加給年金の金額は令和2年度が以下の通りです。

受給権者の生年月日 加給年金額
昭和9年4月2日~昭和15年4月1日 258,100円
昭和15年4月2日~昭和16年4月1日 291,300円
昭和16年4月2日~昭和17年4月1日 324,500円
昭和17年4月2日~昭和18年4月1日 357,600円
昭和18年4月2日以後 390,900円

※障害年金に加算される配偶者加給金は224,900円です。

子供の加給年金の金額は令和2年度が以下の通りです。

対象者 加給年金額
1人目・2人目の子 各224,900円
3人目以降の子 各75,000円

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「加給年金」をもらうための手続きについて

「特別支給の老齢厚生年金」を請求する時に「戸籍謄本」「住民票」「配偶者の所得証明書」を添付した場合、もしくは裁定請求書に配偶者のマイナンバーを記入して「戸籍謄本」を添付した場合は基本的に手続き不要です。

ただし、下記に該当する人は別途、「加給年金」の加算手続きが必要になります。

1.65歳になった時に初めて厚生年金の加入期間が20年以上になった人は「老齢厚生年金・退職共済年金 加給年金額加算開始事由該当」に「戸籍謄本」を添えて提出。

2.退職して長期加入特例に該当する場合は「老齢厚生年金 加給年金額加算開始事由該当届(生計維持申立書)」を退職日から一か月経過後に提出。

3.厚生年金加入期間が20年無い配偶者(妻)の方が年上であり、厚生年金加入期間が20年以上ある人(夫)が65歳に到達した時は「国民年金 老齢基礎年金額加算開始事由該当届」に「戸籍謄本」を添えて提出し、振替加算の手続きを行う。

加給年金が加算されているのか確認する方法

自分の年金に加給年金が加算されているかどうかは、毎年6月に送られてくる「年金額改定通知書」で確認できます。

①の部分に「加給年金額」として金額の記載があれば加算されています。(実際には支給停止になっている場合あり)

または、「国民年金・厚生年金保険 年金決定通知書・支給額変更通知書」でも確認できます。

「国民年金・厚生年金保険 年金決定通知書・支給額変更通知書」の裏面の(A)厚生年金の「加給年金額または加算額」の欄に「加給年金額」として金額の記載があれば加算されています。

まとめ

今回は例として夫が厚生年金の加入期間が20年以上あり、妻は厚生年金の加入期間が20年無いものとして説明しました。

逆に夫は厚生年金の加入期間が20年無く、妻の厚生年金の加入期間が20年以上ある場合も同様に「加給年金」は発生します。

「加給年金」は年間で39万円ほどあり、ひと月あたり32,500円もあります。

結構大きな金額ですからもらい損ねると大変です!

この記事を読んでみて「自分は該当するのでは?」と思う方は年金事務所やねんきんダイヤルで確認してみることをおすすめします。