離婚をする時に夫の厚生年金をもらう年金分割制度とはどういうものなのか?

みなさんこんにちは! けんたろうです。
今回は離婚する時に配偶者の厚生年金を分割して受け取ることができる年金分割制度について詳しく説明いたします。

離婚時の年金分割制度とは?

「夫(妻)が長年会社勤めを続けてこられたのは妻の内助の功があってのことなので、妻(夫)も配偶者と同等の年金を受け取る権利がある。」という考え方のもと制定されたのが「離婚時の年金分割制度」です。

分割できるのはあくまで厚生年金の記録(厚生年金基金、企業年金基金が国に代行して支給する部分を含む)であり、夫の年金全額の半分がもらえるわけではありません。

具体的には、通常65歳から受け取りが始まる『老齢基礎年金』は分割の対象外です。

自分の納付記録に基づいて計算された『老齢基礎年金』と合わせて、分割した『老齢厚生年金』を受け取ることができるようになります。

年金分割の手続きは原則、離婚した日の翌日から起算して2年以内に行わなければいけませんが、次の事例に該当した場合はその日の翌日から起算して6か月経過するまでに限り分割請求することができます。

分割請求期限の特例

・離婚から2年を経過するまでに審判申立を行って、本来の請求期限が経過後、または本来請求期限経過日前の6か月以内に審判が確定した。

・離婚から2年経過するまでに調停申立を行って、本来の請求期限が経過後、または本来請求期限経過日前の6か月以内に調停が成立した。

・按分割合に関する附帯処分を求める申立てを行って、本来の請求期限が経過後、または本来請求期限経過日前の6か月以内に按分割合を定めた判決が確定した。

・按分割合に関する附帯処分を求める申立てを行って、本来の請求期限が経過後、または本来請求期限経過日前の6か月以内に按分割合を定めた和解が成立した。

スポンサーリンク

年金分割の2通りの請求方法について

知っておいていただきたいのが、年金分割には以下の2通りの請求方法があるということです。

1.合意分割制度

平成19年4月1日以後に離婚等をし、以下の条件に該当したときに婚姻期間中の厚生年金記録(標準報酬月額・標準賞与額)を当事者間で分割することができる制度。

①婚姻期間中の厚生年金記録(標準報酬月額・標準賞与額)があること。

②当事者双方の合意又は裁判手続により按分割合を定めたこと。

分割のイメージとしては下記のような感じです。

妻(夫)の方にも厚生年金加入期間があれば、双方の記録を足してから分割します。

2.3号分割制度

平成20年5月1日以後に離婚等をし、以下の条件に該当したときに国民年金の第3号被保険者であった方からの請求により、平成20年4月1日以後の婚姻期間中の3号被保険者期間における相手方の厚生年金記録(標準報酬月額・標準賞与額)を2分の1ずつ、当事者間で分割することができる制度。

①婚姻期間中に平成20年4月1日以後の国民年金の第3号被保険者期間中の厚生年金記録(標準報酬月額・標準賞与額)があること。

②請求期限(原則、離婚等をした日の翌日から起算して2年以内)を経過していないこと。

どちらの制度も共済組合員期間を含めます。また、離婚から2年以内の手続きが必要であることも共通しています。

異なるのは、「合意分割制度」はお互いの合意が必要であるのに対し、「3号分割制度」は合意の必要が無く、妻(夫)からの請求手続きにより当然のこととして半分に分割されるというところです。

合意分割の請求が行われた場合、婚姻期間中に3号分割の対象となる期間が含まれるときは、合意分割と同時に3号分割の請求があったとみなされます。
したがって、3号分割の対象となる期間は3号分割による標準報酬の分割に加え、合意分割による標準報酬の分割も行われます。

もし配偶者の同意を得ることができない時は、当事者の一方の求めにより裁判所が按分割合を定めることができます。

年金分割の手続き方法については「離婚する時に年金を分割するための手続き方法と手順の流れについて!で詳しく説明しています。

まとめ

誤解しないでいただきたいのは、冒頭でもお伝えした通り、相手の年金の丁度半分をもらえるわけではないということです。

『老齢基礎年金』まで半分にされてしまうと分割される人の年金額がかなり少なくなってしまいますから。

本当は年金分割をするような事態にならないことが理想ですが、避けられないようなら2人でよ~く話し合いましょう!